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Decision Resources Group Japan Branch

抗うつ薬フルボキサミンはコロナ治療の有効な選択肢となるか

抗うつ薬フルボキサミンはコロナ治療の有効な選択肢となるか

米国に本社を置くコンサルティング企業Decision Resources Groupのアナリストが、海外の新薬開発や医薬品市場の動向を解説する「DRG海外レポート」。早期の新型コロナウイルス患者に投与すると、臨床的悪化を防ぐ可能性があるとの報告がなされた抗うつ薬フルボキサミン。有効な治療選択肢となるのでしょうか。

(この記事は、Decision Resources Groupのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです)

 

「臨床的悪化」を有意に抑制

選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)のフルボキサミンは、前臨床試験で過剰な炎症反応を抑制することが示されている。小胞体に存在するタンパク質であるシグマ-1受容体に高い親和性を持ち、マウス実験では致死的な敗血症性ショックを防ぐ効果が報告されている。

新型コロナウイルス感染症では、サイトカインストームをミュートすることで、死亡率を低下させることができる。重症患者では、ステロイドであるデキサメタゾンを使用した大規模試験で、死亡率を改善することが示された。

新型コロナウイルス感染症では、「カーブをフラットにする」ことで、医療システムへの負荷や医療従事者の負担を軽減する治療法が求められている。

昨年11月、米国医師会雑誌「JAMA」電子版で発表された研究は、感染防止のためにテレヘルスを最大限に活用した、非接触型デザインの二重盲検無作為化比較試験だ。新型コロナウイルス感染症と診断された患者152人を、フルボキサミンを15日間投与する群とプラセボ群に無作為に割り付けた。

主要評価項目は「臨床的悪化」で、自己申告による息切れと酸素飽和度92%未満の両方を満たすことをその定義とした。

フルボキサミン投与群(n=80)では臨床的悪化の基準を満たした患者はいなかったが、プラセボ投与群(n=72)では6人が臨床的な悪化を経験した。このうち4人は入院している。両群の絶対差は8.7%、P値は0.009で、結果は統計学的に有意なものだった。

 

さらなる検証が必要

有害事象の大半は、治療によるものではなく、新型コロナウイルスの症状(肺炎や息切れなど)が悪化したことによるものと考えられる。

この研究では、フルボキサミンを投与した群で臨床的悪化が有意に減少するという結果が得られたが、実臨床への影響はまだ明らかではない。プラセボ群で臨床的悪化を経験した6人のうち、2人は軽度で、自宅で補助的な酸素を必要とする程度だった。

フルボキサミンは、短期間の治療を目的とした安価な経口薬であり、医師が遠隔で処方するのにも適している。1994年から世界各国で販売されており、医師の間でもよく知られた薬だ。数十年にわたる安全性のデータも蓄積されている。

フルボキサミンが新型コロナウイルス感染症による入院を減少させ、患者の転帰を改善するかどうかは、さらなる検証が必要だ。現在、1100人の患者を対象とする試験が進行中で、結果は今年半ばに得られる予定だ。

この記事は、Decision Resources Groupのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです。

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