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バイオテックへの投資:世界の傾向と展望

バイオテックへの投資:世界の傾向と展望

米国に本社を置くコンサルティング企業DRGのアナリストが、海外の新薬開発や医薬品市場の動向を解説する「DRG海外レポート」。昨年、記録的な水準に達したバイオテック企業への投資について、世界の傾向を解説します。

(この記事は、DRG発行のレポート「Biotech set for good start to 2021」の一部を日本語に翻訳したものです。レポートのダウンロードはこちら

 

米・欧・中、調達資金が大幅に増加

バイオテック業界は、公的機関や投資家から記録的な資金調達を行っており、開発目標を達成するための資本を充実させている。しかし、この資金は世界各地に均等に行き渡っているわけではない。資金は特定の地域に集中し、大半は米国を拠点とする企業の手にある。世界のバイオテック企業に占める米国企業の割合は53%だが、2019年に米国バイオテック企業が調達した資金は全体の約75%に上った。企業数で29%を占める欧州の調達資金は13%、18%のバイオテック企業が拠点を置くアジア太平洋地域の調達資金は10%にとどまる。

米国

米国のバイオテック企業は昨年、8月末までに149億ドルを調達した。一昨年の同時期は103億ドル、18年の同時期は112億ドルで、調達資金は大幅に増加している。米国バイオテック企業が調達した資金の約5分の3は、カリフォルニアとマサチューセッツに拠点を置く企業によるものだった。

米国のベンチャーキャピタリストは投資意欲が高く、米国バイオテック企業のベンチャーラウンドは伝統的に世界で最も規模が大きい。米国では、細胞・遺伝子治療やがん治療を手掛けるバイオテック企業が最大規模のベンチャーラウンドを確保しているが、2020年はリキッドバイオプシープログラムを開発している企業が注目を集めた。

欧州

欧州のバイオテック企業が2020年に調達した資金は48億ドルに上った。19年は35億1000万ドル、18年は36億8000万ドルの調達で、米国と同様に大きく増加している。

これまで同様、ベンチャーキャピタルから欧州で最も注目を集めたのは欧州のバイオテック企業だった。ただし、昨年、世界最大のプライベートラウンドを調達し、その後ナスダックで新規株式公開(IPO)を果たしたのは、独テュービンゲンに本社を置き、mRNA医薬品の開発を手掛けているキュアバックだった。同社は新型コロナウイルスワクチンの開発に取り組んでおり、昨年はそれが大きなニュースとなった。

欧州のバイオテック企業は従来、域内のベンチャーキャピタルを資金調達の頼みとしており、欧州投資基金からの資金でバックアップを受けることが多かった。しかし近年、米国やアジアの投資家が調達ラウンドを牽引する傾向が高まってきている。

アジア太平洋

アジア太平洋地域のベンチャーファイナンシングは、中国で生まれているビジネスチャンスが主な対象だ。中国は、この10年でバイオイノベーションの主要拠点としての地位を確立している。事実、「Derwent World Patents Index(DWPI)」によると、中国の製薬分野の特許出願数は2011年から世界トップの座にあり、承認数も米国と肩を並べている。

中国のバイオテックベンチャーの資金調達は昨年、第1四半期はゆっくりとした滑り出しだったが、その後は堅調に推移した。昨年の調達資金の総額は48億ドルで、19年の25億ドル、18年の33億ドルを大きく上回った。

中国のバイオテック業界は欧米に遅れをとってきたが、近年急速に地歩を固めている。世界最高レベルの企業を設立するのに必要な巨額の資金を、必要最小限の企業数で調達できたからだ。ほかの地域と同様に、中国でもがん治療や遺伝子・細胞治療を開発する企業が最も注目を集めている。

昨年の中国の資金調達ディールのトップはエベレスト・メディシンズとリアンバイオで、それぞれ6月と10月に3億1000万ドルを調達した。両社のパイプラインには、がんや免疫関連の開発品が含まれている。

相次ぐライフサイエンスファンド設立

バイオテック企業の資金調達の見通しは今後も明るい。なぜなら、新規ライフサイエンスファンドの立ち上げが相次いでいるからだ。それらのファンドの中には、欧州投資基金のバックアップを受ける欧州のファンドのように、投資先の優先度をはっきりと定めているものもある。一方で、米国のベンチャー企業が設立する一部の大規模ファンドのように、投資地域の多様化を図っているところもある。

 

IPOも記録的水準

バイオテックのIPOに対する投資意欲は、かつてないほど高まっている。昨年は当初、パンデミックとそれによる経済への影響でIPO市場が混乱するのではないかと懸念されたが、実際はIPOを通じて記録的な資金を調達した。

米国拠点のバイオ医薬品企業は昨年、16社がIPOで2億5000万ドルを超える資金の調達に成功した。上場が多かったのはがん治療薬を開発する企業だが、規模が最も大きかったのは、バイオ医薬品企業からのロイヤリティで収益を上げているロイヤリティファーマで、その次はグローバルCROのPPDだった。

米国のバイオテック企業は、ナスダック上場企業が利用できる豊富な資金を背景に、フォローオンでも総額326億ドルという記録的な資金調達を行った。

新型コロナウイルスワクチンの開発競争でトップを走ってきたモデルナは、昨年2月に5億7500万ドル、ワクチンの臨床第1相(P1)試験の中間データを発表した5月には13億4000万ドルを調達している。このほか、大規模なフォローオンとしては、マイオカーディアが6億3400万ドル、アロジーン・セラピューティクスが6億3300万ドルの調達に成功した。

多くの欧州バイオテック企業が米国での上場を選択するのは、このようにフォローオンで多額の追加資金を調達することができるからだ。昨年、欧州バイオテック企業が行った大規模IPO9件のうち、8件は米国で行われたものだ。叙情した欧州バイオテック企業のうち6社は、IPOより前にプライベートファイナンスラウンドを年内に完了していた。

中国バイオテック企業では、昨年IPOを完了した20社のうち、11社が香港、5社が上海、4社がナスダックに上場した。現時点で、収益を生み出す前の段階にあるバイオテック企業23社が香港に上場しており、総額568億香港ドルを調達した。フォローオンでは460億ドルを調達している。

アジア太平洋地域の企業では、13社が資本市場に復帰し、総額41億ドルを調達した。その先頭に立ったのはベイジーンで、ナスダックに直接上場して21億ドルを調達した。このほか、ナスダック上場の中国バイオテック企業でフォローオンを完了しているのは、ザイ・ラボ、ハチソン・チャイナ・メディテック、バーニング・ロック・バイオテックの3社だ。

この記事は、Decision Resources Groupのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです。本記事の内容および解釈については英語の原文が優先します。正確な内容については原文を参照してください。本記事の原文はこちらです。

出典:バイオテックへの投資:世界の傾向と展望|DRG海外レポート

発行元:AnswersNews
発行日:2021/03/23

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