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欧米に比べ低い浸透率:日本におけるインターベンショナルオンコロジー市場

欧米に比べ低い浸透率:日本におけるインターベンショナルオンコロジー市場

この記事は、弊社が発行したレポート「Interventional Oncology Device | Japan | 2020」のExecutive Summaryを翻訳したものです。レポートに関するお問い合わせはこちら。

日本における新型コロナウイルス感染症COVID-19への対応は比較的良好で、4月初めに出された緊急事態宣言は新規感染者数の減少に伴い、5月最終週に解除されました(The Guardian, 2020)。とはいえ、インターベンショナルオンコロジーデバイス市場の成長は今後もやや妨げられそうです。

こうした製品は、定期的な健康診断(スクリーニング)または医師の検診で発見、診断された疾患の治療に使用されますが、個人が感染リスクを減らそうと努め、医療施設もCOVID-19患者の診断と治療を優先する状況では、絶対に必要とはいえない手術は、通常の患者の検診やスクリーニング、緊急性のない手術を含め中止または延期が予想されるためです。

さらにがん患者の多くは高齢で、治療によって免疫機能が低下していることに加え、併存疾患を有する場合も多いため、COVID-19感染リスクが高まっています。このため早期がん患者の一部は、状況が改善するまで治療を見合わせることを助言されています。こうした要因が短期的にはデバイスの使用と収益に影響を及ぼしそうです。

日本のインターベンショナルオンコロジーデバイス市場では、予測期間中、ある程度の成長が見られそうです。患者数の増加、高額な低侵襲性治療手技の採用増加、高額なデバイスの発売と導入などが原動力となりそうです。ただし、デバイスの平均販売価格は低下しつつあり、これが市場全体の成長にいくぶん影響を及すとみられています。

世界のトレンドと同様、日本においても、医師の低侵襲性インターベンショナルオンコロジー処置の採用は増加しつつあるものの、他の先進国に比べると、日本では外科手術からのシフトはそれほど急速に進んではいないようです。

業界情報筋によると、日本では圧倒的に腫瘍切除と分子標的薬やモノクローナル抗体を用いた薬物療法が圧倒的に好まれているようです。たとえば、腎臓がん、肺がんの第一選択療法は依然外科手術で、他の国とは違っています。これはこうしたがんの治療を担当するのは泌尿器科医や呼吸器科医で、外科手術を第一選択と考え、インターベンショナルオンコロジー術は考慮されていないためです。

同様に、日本における肝臓がんの治療選択も欧米諸国とは異なっています。とりわけ欧米では、別の部位からの転移性肝がんに対しては塞栓術が主な治療ですが、日本ではこの治療は用いられていません。診療ガイドラインでは転移性大腸癌の場合、切除が第一選択治療として推奨されているためです。

その他、ガイドラインには全身化学療法、動脈注入化学療法、熱凝固法、放射線療法が挙げられています(Watanabe T, 2017)。このため、こうしたガイドラインでは、アブレーションの使用もいくらかは推奨されているものの、塞栓術にはマイナス要因となっています。

日本では薬物療法と従来の治療が定評を得ているため、インターベンショナルオンコロジー治療の採用はこれまでのところ米国、欧州諸国と比べると限定的です。

さらに、日本では国内の臨床データが重要視されるため、新たなインターベンショナルオンコロジーデバイスの承認には欧米市場に比べ遅れが生じ、市場成長の阻害要因となっています。例えば、放射線塞栓療法マイクロスフェア(radioembolization spheres)は欧米市場で急速に採用が伸びていますが、こうした製品は日本では未承認です。

市場首位はボストンサイエンティフィックとメドトロニックが高収益の望めるアブレーションデバイスセグメントに集中して争っており、両社とも数種類のデバイスを提供しています。いずれも多様なデバイスを必要とする施設に抱き合わせ販売(クロスセル)やバンドル一括販売が可能で、新製品の採用を推進するために両社は既存ブランドの認知度と強力な流通経路を利用できるため、当市場において非常に優位に立っています。

2019年、ボストンサイエンティフィックは薬剤溶出ビーズ(DEB)OncozeneとEmbozeneマイクロスフェアをバリアンメディカルシステムズに売却し、BTGを買収し、同社の冷凍アブレーションデバイスと薬剤溶出DCビーズをポートフォリオに加えました。Oncozene及びEmbozene売却の影響は、BTG製品がボストンサイエンティフィックのポートフォリオに加わることで軽減されそうです。

当市場の3位は日本化薬です。特に塞栓材セグメントで強さを示しています。日本の規制制度は複雑で、企業・社会倫理に強い重点が置かれているため、国内企業として、日本独自の文化や規制環境を熟知していることがプラスに働いています。当市場でのシェアは日本化薬には及ばないものの、テルモとオリンパスも日本企業であるという強みを生かしています。

テルモ、AngioDynamics、BTG(ボストンサイエンティフィックが買収)、Sirtex Medical (CDH Genetech、China Grand Pharmaceuticals and Healthcare Holdingsによって買収)を含む数社がデバイスの承認申請を行い、現在審査結果を待っている段階です。このため、例えば、現在未承認のIRE(不可逆電気穿孔法)アブレーションデバイスあるいは放射線塞栓療法マイクロスフェアなどのデバイスや粒子が予測期間中に承認されれば、日本市場におけるシェアやダイナミクスに相当のインパクトが予想されます。

絶対に必要とはいえない手術の中止や延期、また医療施設が新型コロナウイルス感染症の診断と治療を優先している状況下、当市場は低迷しそうです。これはデバイス承認の裏付けとなる臨床データを得るための試験実施にも遅れをきたし、最終的に承認決定や製品の発売時期にも影響が及びそうです。

この記事は、弊社が発行したレポート「Interventional Oncology Device | Japan | 2020」のExecutive Summaryを翻訳したものです。レポートに関するお問い合わせはこちら。


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