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【ホワイトペーパー】2020年メディカルデバイス市場で注目するべき6つトピックス:Ayushman Bharat Yojana(インドにおける医療サービス向上に向けたスキーム)

【ホワイトペーパー】2020年メディカルデバイス市場で注目するべき6つトピックス:Ayushman Bharat Yojana(インドにおける医療サービス向上に向けたスキーム)

2020年は、新規規制や貿易協定の更新、地域特有の障壁、政治イベント等様々な出来事が予想され、医療機器メーカーに大きな影響を与えると予想されます。DRGでは特に影響が大きいとみられる以下の事象について、6回のシリーズに分けて解説をしていきます。

  1. 欧州の医療機器規則(MDR)
  2. Brexit
  3. アフォーダブル・ケア・アクト(米国)
  4. 米国・メキシコ・カナダ協定
  5. Ayushman Bharat Yojana(インドにおける医療サービス向上に向けたスキーム)
  6. 中国における障壁と展望

第4回目となる今回は、Ayushman Bharat Yojana(インドにおける医療サービス向上に向けたスキーム)ついて解説します。

注:Brexitについては直近の情勢の変化により情報が最新のものではなくなったため、掲載を見送りさせて頂きます。

CHECK!出典のオリジナル英文ホワイトペーパーもご活用ください。
本日本語記事は6部に分けて以下の英文無料ホワイトペーパーを日本語でお届けしております。

Medtech Regulatory Dynamics 2020: 6 Big Regulatory Updates and Takeaway for Medtech Teams

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Ayushman Bharat Yojana

アクセスと金額的な利用しやすさを改善し、高成長の可能性

変更の背景・理由

インドでは、主に貧困と国内の医療インフラの不平等な配分によって、歴史的に質の高い医療へのアクセスが国内各地で欠如していました。最近まで、インド国民の半数以上に相当する7億人が医療保険に加入していませんでした。さらにPublic Health Foundation of Indiaによる調査で、医療費の自己負担額は

平均的なインド人家庭の食費以外の支出の11%に相当し、これによって2011年から2012年にかけて5500万人が貧困ライン以下に陥ったことが明らかになりました。インドの国家保健庁(Indian National Health Authority)は、毎年人口の7%がこの状況に陥っていると推定しています。

 

ABYの主要部分

これを受けて2018年9月、インド政府は政府出資による世界最大規模の医療保障制度、Ayushman Bharat Yojana (ABY)を成立させました。この制度を通じ、政府は特に地方部の貧困家庭を対象として、国民の半数近くに対して二次三次医療を保険で提供するとともに、コミュニティベースのプライマリヘルスケアセンターのネットワーク確立を目標としています。

具体的には、ABYは大きく2つに分けられます。主体となるPradhan Mantri Jan Arogya Yojana
(PM-JAY)は、1億以上の低所得・貧困世帯に対し世帯当たり最高50万ルピー(INR)を二次、三次医療として給付し、農村など地方部を中心に全国およそ15万の「ヘルス・ウェルネスセンター」を設立し、無料でプライマリケアを提供します。従来、インドで医療を受けられなかった主な理由が金額的な利用しやすさと地方部の医療機関へのアクセスの問題であったことを考えると、ABYによって多数の患者が治療を受けられるようになりそうです。したがって今後さまざまな市場で治療・手術数が大きく増加することが予想されます。

 

ABYは医療機器にどのような機会と課題をもたらすか?

インドにおける医療供給の拡大は、医療機器業界に相当な成長機会をいくつももたらしそうですが、一方で、国内医療機器メーカーは、いくつかの課題に直面しそうです。そのうちの一つが、従来の規模をはるかに上回る患者に対し、着実かつ安定的な医療機器の供給を保証する必要がある点です。

これに加え、国内での患者数の増加に伴い、医師の研修や教育拡充のニーズも高まります。この点に関する責任はほぼすべて医療機器メーカーが負うことになるでしょう。メーカーは、手術合併症を防ぎ、最善のアウトカムを得るために自社機器の使用に関する研修を行うことばかりか、多数の医師の間でブランドロイヤルティを生み出すための手段としても研修の提供が重要であると分かるでしょう。これが将来、市場シェア獲得につながる可能性もあります。

 

ABYが外資系医療機器企業に突きつける課題は国内企業の場合とどう違っているか?

ABYの適合はきわめて資源依存型プロセスとなることが予想されるため、巨大な資本と製造能力を有する大規模な多国籍企業は、急速に拡大するインドの医療機器市場ニーズに対応する態勢が整っているといえます。とはいえインド政府は地元での製造と国内企業の支援に一層力を入れていることから、今後は多国籍企業も独特の課題に直面しそうです。

従来、インドで使用される医療機器の80%近くは輸入品でしたが、国内産業の発展を支援する“Make in India”と呼ばれる政府の取り組みに沿って、2017年6月、産業政策推進局(Department of Industrial Policy and Promotion)は指令を出しました。その後、2018年5月に改定され、すべての調達機関は国内サプライヤーを優先すべきであり、製品価値の50%以上は国内で調達することと規定されています。この割合の増減、または地元調達額の算出に別の計算式を使用するか否かの判断は当該地方自治体に委ねられています。

それにもかかわらず、外資企業は、最も低価格を提示できれば今後も500万INR以上と評価される入札の50%を獲得できそうです。国内サプライヤーがこの最低価額を提示できなければ、残る50%の入札もまた海外の入札者に与えられる可能性があります。さらに、50万INR未満と評価される入札の場合は同指令の条件適用外となります。そのうえ、政府は外資企業によるインド企業への直接投資を100%まで認めています。この方針の目的は、国内業界への投資を誘致し、それによって同国の医療機器セクターを強化することです。外資企業はまた、国内調達分の最低要件を満たすため、地元企業とのパートナーシップ、または製造施設の建設という選択肢があります。

この指令は紛れもなく国内医療機器業界の活発化につながります。2018年だけでも、Sahajanand Medical Technologies、S3V Vascular、Trivitron Healthcareの3社が、いずれも輸入機器に代わる低価格製品を製造するため国内各地に新たに大規模な製造施設の建設計画を発表しました。インタビューに協力したある業界情報筋は「ABYはインドの医療機器市場の成長をこれまでにない規模で大きく変える可能性がある」と述べ、「同国内の手術数は増加しており、市場もそれに合わせて成長が予想されます。今後10~20年間に2ケタの成長を果たしても驚きではありません。」とも語っています。

 

当分は課題が予想されます

一方、必要な製品がインドの製造システム内になければ、この指令は治療アクセスの遅れを生じる可能性もあります。ABYを受けて国内各地で医療機器と手術需要の大幅な増加が見込まれることから、これは特に大きな懸念といえます。海外企業に対するハードルを上げることは、国内の競争とイノベーションの妨げにもなるという声や、業界関係者から、ABY 制度の下で提供される様々な補助金付きのパッケージにおいて、デバイス価格がさらに引き下げられる可能性に懸念を示す声も上がっています。

製造条件と、安全性と品質のため国内外いずれの企業にも課される国内・地域の最低基準順守という要件以外に、インドで事業展開する企業の一部が直面している大きな課題は価格設定です。冠動脈ステントや膝インプラントなど医療機器のいくつかは医薬品価格管理令(Drug Prices Control Order)に基づいて価格設定され、さらに物品サービス税(GST)課税対象となります。これは最高28%にもなり、企業は製品開発と競争力のある価格での製造を迫られます。これを実現できなければ、低コスト製造業者に座を譲ることにもなりかねません。多くの企業が機器の部品輸入に伴う追加費用の対応が必要となる可能性を考えれば、これは特に外資企業に影響を及ぼしそうです。

 

ABYの成功には協力が必須

このため各社は、ABYの誕生によっていくつかの課題に見舞われそうです。これらの課題を克服するために十分に準備した企業だけが今後数年間で生まれる巨大な機会をものにすることができます。ABYの成功に最も重要なのは、企業、投資家、医師、政府の協力です。これらの組織が効果的に協力することができれば、人口世界第2位の当国において根本的に改善されつつある医療提供に重要な役割を果たすことができ、何億というインド国民の健康を向上させるばかりか貧困削減と経済発展に大きく貢献することになります。

2020年、インド政府は患者の安全改善と機器及び有害事象の追跡可能性の改善のため、医療機器規制のありかたを大幅に変更することが予想されています。私たちは、今後も展開を注視し、情報を入手次第、更新してまいります。

 

重要な課題

● ABYの施行後、治療・手術数にどのような影響が生じたか?今後、治療・手術数にどのような影響を及ぼすか?

● ABYの実施に関連して起こる課題に対応するため、政府および業界各社は現在どのような措置を取っているか?

● ABYを確実に成功させるため、各社が果たせる役割は?

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