skip to Main Content
Decision Resources Group Japan Branch

【ホワイトペーパー】2020年メディカルデバイス市場で注目するべき6つトピックス:米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)

【ホワイトペーパー】2020年メディカルデバイス市場で注目するべき6つトピックス:米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)

2020年は、新規規制や貿易協定の更新、地域特有の障壁、政治イベント等様々な出来事が予想され、医療機器メーカーに大きな影響を与えると予想されます。DRGでは特に影響が大きいとみられる以下の事象について、6回のシリーズに分けて解説をしていきます。

  1. 欧州の医療機器規則(MDR)
  2. Brexit
  3. アフォーダブル・ケア・アクト(米国)
  4. 米国・メキシコ・カナダ協定
  5. Ayushman Bharat Yojana(インドにおける医療サービス向上に向けたスキーム)
  6. 中国における障壁と展望

第3回目となる今回は、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)について解説します。

注:Brexitについては直近の情勢の変化により情報が最新のものではなくなったため、掲載を見送りさせて頂きます。

CHECK!出典のオリジナル英文ホワイトペーパーもご活用ください。
本日本語記事は6部に分けて以下の英文無料ホワイトペーパーを日本語でお届けしております。

Medtech Regulatory Dynamics 2020: 6 Big Regulatory Updates and Takeaway for Medtech Teams

ダウンロード登録はこちらから

米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)

規制の国際整合、知的財産権保護の強化、貿易障壁の最小化

2018年11月30日、米国トランプ大統領、当時のメキシコエンリケ・ペニャ・ニエト大統領、カナダのジャスティン・トルドー首相は米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に署名し、1年以上に及ぶ交渉を終えました。

北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新たな協定として注目されています。署名され原則合意されているものの、批准はメキシコのみで、米国とカナダ議会が批准していないため、まだ発効されていません。

新たな条項の一部に関する批判に加え、交渉は難航したにもかかわらず、USMCAはいずれの国にとってもNAFTAをわずかながら改善したものとの見方でアナリストの意見は一致しているようです。

医療機器を巡る新たな協定は、NAFTAには医療機器に限って言及した条項は含まれていなかった点を考慮すれば、北米の医療機器市場にとって明確な進歩であるといえます。

 

USMCAの医療機器に関する規定:新たな点は?

米国先進医療技術工業会(AdvaMed)は、附属(Annex)12-Eと題されたこの追加規定は、北米地域の医療機器に適用される規則を大幅に改善するものであると評価しています。この追加規定には、以下に簡単に挙げるいくつかの条項が含まれており、この協定が批准され、効力を発すれば締約国が順守すべき規定です。

所轄官庁(Competent Authorities)に関して:

● 全ての締約国は各所轄官庁の説明とその具体的な責任をインターネット上に掲載し、連絡先情報を定期的に更新する

● さらに、全関係者は3カ国における医療機器をめぐる規制が重複していないことを確認し、また所轄官庁による「重複的」となりうる慣行について定期的な調査を開始する(ここでは「重複」は医療機器製造企業が個々の国におけるきわめて類似した規制要件に従う必要があることを指します。これは費用の増大や承認の遅延につながります)

規制の国際整合(Regulatory Harmonization)に関して:

● 全関係者は「医療機器」の定義を自国内の法律において明らかにし、規制要件が医療機器規制国際整合化会議(Global Harmonization Task Force; GHTF)によって承認された定義に一致していることを確認する

● 締約国は北米地域を通じて同調、整合された規制要件を維持するための協力を強化することが求められる。こうした努力には国際医療機器規制当局フォーラム(International Medical Device Regulators Forum; IMDRF)などの国際的、地域的な取り組みへの参加も含まれる

● 認可された規制当局によって実施され、医療機器単一調査プログラム(Medical Device Single Audit Program; MDSAP)の条件に従った、企業の品質管理システム(QMS)検査はいずれも3カ国全てに認識され受け入れられる

● 医療機器の販売承認に関する規則は、国際的、地域的に認識されているガイダンス文書に従って策定され実施される

規制上の実施(Regulatory Implementation)に関して:

● 締約国は自国の規制の下において、別の締約国(それ以外の国からのものも含め)から輸入された製品が平等に取り扱われることを保証することが求められる

● 全関係者は医療機器がリスクに基づくアプローチによって分類され、全ての関連規制がリスク評価に基づくものであることを保証する義務がある

● 手術や機器の有効性を低下させる、またはある市場での製品の入手を遅らせる可能性のある規制の導入を避けるため、規制要件を策定する締約国は確実に順守されるよう、自らの資源と能力を考慮する必要がある

販売承認(Marketing Authorization)に関して:

● 全関係者は機器の安全性、有効性、デザイン、使用および 品質のみに関する情報とデータに基づいて医療機器の販売承認を与える必要がある。売上、価格、あるいは財務情報に関するデータが販売承認において考慮されることがあってはならない。

● 販売承認プロセスは要件の重複を避け、公表されている基準(要求される情報が詳細に記載された公表されているチェックリストまたはガイダンス文書)に基づいて実施されるべきである。可能性のある利害の対立を検討し、「しかるべき期間内」に実施される(この期間は各機器の革新性やその他の状況に応じて異なる可能性が記されている)。

● 締約国は申請が承認されなかった場合、再検討または再提出する機会を申請者に与えるプロセスを導入する

● 安全性、有効性または品質上の問題が明らかになった場合を除き、すでに承認を得ている医療機器及び定期的な再認可が要求される機器は再認可の決定がなされるまでは市場での販売が認められる

● 締約国の権限の下で申請の資格を得るために、機器は製造国での承認を得ている必要はない

● 締約国はその機器が当地域の規制要件に準じている証明として別の国で発行された販売承認を認めることができる。ある締約国が特定の機器の販売承認を行うのに要求される資源を有しない場合、別の国による販売承認を要求することができる。その場合、この締約国は、あらかじめ設定された容認される販売承認国リストを公表することが求められる。

● 全関係者は機器の輸入後、ラベルが各関係者の要件を満たしている限りにおいては販売前にラベルの貼り替えまたは既存の表示を補完するための機会を製造業者に与える。NAFTAの下では輸入された機器に不適切なラベル表示がなされていた場合、輸出国に返品されている。

AdvaMedによると、これらの規則によって北米全域における透明性と公平性が高まり、安定し明確に定義され、国際的に調和した規制システムの下で、域内の患者の新しい医療技術へのアクセスが広がるものと予想されます。

さらにこれらの規則は、特に重複した規制要件を除外する項目によって、製造業者が北米で医療機器を市販する際の費用削減につながりそうです。これによって各社がR&D及び革新的なソリューション開発への投資を強化することも考えられます。新たな貿易協定によっていわゆる「非関税障壁」が減らされれば、米国企業はカナダとメキシコに機器を販売する力が強まり、その逆も当てはまります。

 

ITC報告書: 医療機器市場にとって前向きな見通し

2019年4月、米国の国際貿易委員会(International Trade Commission; ITC)は、USMCAが米国経済および特定の業界に与えうる影響を示す報告書を発表しました。これは議会でUSMCAの議論を開始する下準備として義務的な手続き上のステップです。医療機器業界に関しては、「医療機器の貿易に統計的に有意なマイナス影響を与える」と思われる規制要件の重複や不要な貿易障壁を避けることを意図した条項によって、おおむねプラスの影響が予想されています。

これに加えて、ITCはUSMCAに規定された条項により知的財産権(IPR)の保護が改善すると述べています。条項には著作権保護期間の延長、特許期間の調整、確実な実施規定などが含まれ、北米全域の医療機器メーカー各社に恩恵をもたらすことが予想されます。報告書には、特に医療機器業界においては「貿易の流れとIPR保護との間には統計的有意なプラスの関係がみられる」と記載されています。

とりわけ、ITCはUSMCAのIPR保護によってカナダとメキシコの医療機器貿易の費用がそれぞれ8.21%、11.22%削減されると推定しています。これを受けて両国では米国からの医療機器の輸入が増加することが予想されます。

この他にも、ITCは輸入制限の点で3国間の規制の整合化をさらに推奨することにより、同地域における医療機器の貿易はさらに改善される可能性があると示唆しています。特に報告書で指摘されているのは、FDAの品質システム規則がカナダでは認識されていないという事実です。これにより、製造業者は個別の承認申請を余儀なくされるばかりか、アメリカからの高性能の医療機器の輸入が制限され、カナダの患者に使用できるまでの時間に遅れが生じることになります。

とはいうものの、医療機器の規制と基準の点で3国がすでに協調できていることから、USMCAが医療機器市場に与える影響はそれほど大きなものだとは予想されていません。

 

批准:それほど単純ではない

この協定は既に述べた通り、発効には各国議会による批准が必要です。しかしながら米国内の政治的展開によって承認が阻まれてきました。

特に現在下院の過半数議席を占める民主党は、メキシコがUSMCAの規定に関係する労働法改正案を通過するまではUSMCAの是非を問うことに消極的でしたが、2019年4月29日、メキシコの上院がこれを可決、数日後にはメキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領が米国議会に対し新たな協定の批准を呼びかけました。これは民主党が掲げたUSMCA検討の条件を明確に満たしているものの、議会での審議がいつ開始されるかは明確ではありません。というのは民主党員の中には、メキシコはこれらの改革を効果的に実行することができないと示唆するものもあり、民主党がメキシコに追加の保証を求める可能性があるためです。

とはいえ最近の報告によれば、アメリカ政府は議会での協定支持を確保するため、条文の特定の文言などに修正を加えるという考えに好意的になっているようです。さらに共和党議員は民主党議員に対し協定の審議を求める圧力を強めているように思われます。わずか数週間のうちに共和党下院議員及び代理人からの論説がいくつも現れこの協定がもたらしうる恩恵をうたっています。一方、共和党全国委員会(Republican National Committee)は、民主党が代表している20の地区でFacebook, Google, YouTubeを介して広告を出し、貿易協定の可決を促すとともにナンシー・ペロシ下院議長への圧力を求めています。

さらに、ここ数カ月、トランプ政権のカナダとメキシコに対する鉄鋼とアルミニウムに対する関税(2018年に賦課)の持続のため批准はさらに困難なものになるだろうと思われていたものの、これらの関税(および関連する報復関税)が2019年5月17日に解除され、共和党上院議員らが提示していたUSMCA審議開始の条件を満たしたことで、カナダ、メキシコによる批准の大きな障害が取り除かれました。

実際、この発表から数日後に、カナダのクリスティア・フリーランド外相は方法や手段を審議する動議をカナダの下院に提出し、協定の批准に必要なプロセスを開始しました。その後、米国連邦議会と足並みを揃えて批准すると述べています。2019年6月19日、メキシコの上院はUSMCAを可決し、締約国として最初に正式に協定を批准しました。

わが社では調査結果に基づき、現時点では、USMCAは最終的にはカナダ政府、そして米国上院でも批准されるであろうと予想しています(特に労働、環境、製薬に関する条項を巡り、いくつか細かな修正が予想されます)。これが実現すれば、協定の批准は北米地域の医療機器メーカー及び協会に好意的に受け入れられ、3カ国全てにおいて患者の革新的医療機器のアクセスを改善することにつながるでしょう。

 

重要な疑問

● USMCAは現在の形のままで批准されるか?それとも大幅な修正が必要とされるか?

● 競合各社は今後北米地域の規制の整合化をどのように活かせるか?

CHECK!出典のオリジナル英文ホワイトペーパーもご活用ください。
本日本語記事は6部に分けて以下の英文無料ホワイトペーパーを日本語でお届けしております。

Medtech Regulatory Dynamics 2020: 6 Big Regulatory Updates and Takeaway for Medtech Teams

ダウンロード登録はこちらから


Back To Top
×Close search
Search