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トランプ政権 リベート廃止を撤回…薬価引き下げ、矛先はまた製薬企業に

トランプ政権 リベート廃止を撤回…薬価引き下げ、矛先はまた製薬企業に

Decision Resources Groupのアナリストが、海外の新薬開発や医薬品市場の動向を解説する「DRG海外レポート」。米国のトランプ大統領が、医薬品のリベートを廃止する規則案の実施を断念しました。薬価引き下げの取り組みは今後、どうなるのでしょうか。

(この記事は、Decision Resources Groupのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです。本記事の内容および解釈については英語の原文が優先します。正確な内容については原文を参照してください。原文はこちら

 

政府負担膨らみ断念

7月10日、米国のトランプ政権は、薬剤給付管理会社(PBM)や保険会社、さらにはホワイトハウス内部からの反対を受け、医薬品のリベートに関する新規則案を撤回した。

規則案は、リベートを禁止し、価格が下がった分をメディケア・メディケイドの被保険者に還元するという内容。医薬品の表示価格の30%にまで上ることもあるリベートを廃止すれば、医薬品メーカーが表示価格を下げ、薬局で患者が払う額も下がる、というのが政権側の理屈だった。

この規則は当初、2020年1月までの実施が予定されており、患者が購入可能な価格を保証するための重要な一歩となるはずだった。

保険料補助が増加

しかし、連邦議会予算局が分析したところ、この規則の実施により政府は10年間で1750億ドルを超える費用を負担しなければならないことがわかった。メディケア・メディケイドの保険料補助の増加につながり、これを通じて保険料が上昇するからだ。

もともと保険者やPBMから反発があったことに加え、こうした要素が出てきたことから、大統領は規則の実施を断念せざるを得なくなってしまった。医薬品メーカーやアレックス・アザー厚生長官の強力な後押しを受けたにもかかわらず、だ。

 

勝者の陰に敗者あり

PBMと保険者はリベートによる利益の確保に固執していた。規則の撤回は彼らにとって勝利であることは間違いない。

彼らは、規則が実施されても医薬品の価格は下がらないと考えていた。だが一方で、新規則がリベートに対抗する新たな販売施策を刺激したかもしれず、そうなれば、PBMと保険者がリベートから得てきた利益も脅かされただろう。

メーカーの板挟みは続く

価格の引き下げを求める患者や政府と、フォーミュラリーでの有利な位置付けの見返りにリベートを要求するPBM。医薬品メーカーは、両者の間で板挟みの状態が続くことになる。

OptumRxなど一部のPBMは、医薬品薬の表示価格を下げたとしても、リベートに相当する額を補償するようメーカーに求めている。患者とPBM、双方のバランスを取ろうとする中で、メーカーにとってはこれからが一層辛い時期になるだろう。メーカーはこれまでも、リベートの禁止がメディケア・メディケイドから一般の市場にまで広がれば、価格低下の可能性が高まるだろうと指摘してきた。

 

今後の展望は?

トランプ大統領は、2020年の選挙で再選を果たすための準備として、大きな行動目標をいくつか掲げている。その1つを前進させるために彼が期待するのは、議会が超党派で薬剤費削減につながる法案を作る、あるいは法律として成立させることだ。

2019年6月、ラマー・アレクサンダー上院議員(共和党)とパティ・マレー上院議員(民主党)は、Lower Health Care Costs Act(医療費削減法案)を議会に提出した。6月に上院の保健委員会で可決されたこの法案が、価格設定の透明性やスプレッドプライシング、後発品の特許保護など、製薬業界に直接的に影響を及ぼす多くの課題にも対応していることは、注目に値する。

トランプ政権は、国際参照価格決定方式をはじめとするほかの対策にも目を向けるだろう。大統領は7月5日、米国での医薬品の支払い価格を他国のそれと連動(大統領いわく「恵国条項」)させる大統領令を準備中だと発表した。

CMでの価格表示も裁判所が差し止め

政権はその前にも、テレビコマーシャルでの価格表示をメーカーに義務付けることで、価格の透明性を向上させようとした。しかし、リベート規則を撤回した前日の7月9日、米地方裁判所のアミット・メータ判事が、保健福祉省にそのような規則を課す力はないとして、この施策の実施を差し止めている。

医薬品の価格設定を1枚の絵に例えるなら、リベートは風景に溶け込んでおり、非常に扱いにくい問題となっている。保険者とPBMは長年、リベートによって利益を上げてきた。これこそが問題であり、医薬品の価格を押し上げる要因になっていると医薬品メーカーは主張している。

しかし、現時点ではリベート廃止の動きはみられず、トランプ政権は価格設定と透明性に的を絞って法案の作成・提出を進める計画だ。医薬品メーカーにとっては、一段と困難な時期が訪れようとしている。

(原文公開日:2019年7月12日)

CHECK!DRG発行の関連レポートは以下をご参照ください。

  • レポート1
  • レポート2

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この記事は、Decision Resources Groupのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです。本記事の内容および解釈については英語の原文が優先します。正確な内容については原文を参照してください。本記事の原文はこちらです。

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