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Decision Resources Group Japan Branch

包括支払いに向けた「ヘルスケアブレイン」の構築―AIと患者データの連携

包括支払いに向けた「ヘルスケアブレイン」の構築―AIと患者データの連携

Decision Resources Groupのアナリストが、今回取り上げるのは、患者データとAIを結びつけて、医療コストをより詳細に管理しようとする米IT企業の動きです。

AIの重要性が高まる

バイオ医薬事業を売却する一方、人工知能(AI)が持つ大きな将来性は手放そうとしないゼネラル・エレクトリクス(GE)。巨大企業の苦悩は、医療分野の資本が向かう先を示唆しているのかもしれない。

医療業界では今後、AIの重要性が高まりそうだ。電子カルテ(EMR)の実現で競争は加熱しており、この変革でモチベーションを高めたプロバイダーは今後、より大きなリスクをとってこの分野を強化してくるだろう。アップル、グーグル、アマゾン、フォックスコンといったIT企業は、ゲノムデータとAI対応型EMRの連携による革新的事業やシステムの構築で知られるヘルスケア担当幹部を雇い入れている。

こうした人材には、治療成績の予測を可能にする能力があるはずだ。それによって入院を減らし、再入院はさらに減らし、慢性疾患をより効率的に治療できるようになると、ヘルスケアに関わるステークホルダーは考えている。この想定に基づけば、保険者と雇用主は、IT企業と連携する最大の医療システムに、多様なサービスの費用をセットで負担させることができる。

ただし、課題は山積している。最近、ウォルマートがEMRデータを保護するブロックチェーン技術の特許を取得したが、そこでは個人情報にめぐる懸念が明らかになった。

AIと患者データ 結びつけてコストを管理

ウォルマートやボーイング、インテル、ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートといった企業はすでに、一般的な関節置換手術の費用のセット負担や、低価格の狭域医療プランの提供について、優先するプロバイダーと直接契約をしている。北部ニュージャージーを本拠とするHackensack Meridian Health(HMH)は、前払いで料金を請求する包括支払いモデルによって乳がん治療の費用を引き上げた。このモデルは、データ解析会社のCota(HMHの医師、Andrew Pecora博士が創設)とともに開発したもので、AIを活用した医療費償還の未来を示しています。

EMRにある患者のゲノムデータとAIを結びつける最新の取り組みは、より詳細なコスト管理を可能とする――。IlluminaのCEOであるFrancis deSouzza氏は、AIとEMRの組み合わせで最も注目されるのは、人頭支払い方式の医療システムだと話している。

コンピューターシステムがAIと連携すれば、根拠に基づく治療や解析済みゲノムのライブラリを使って情報を関連付け、予測し、治療を提案できるようになるだろう。包括払いモデルの国内トップであり、ペンシルベニアのダンビルに本拠を置くGeisinger Health Systemは、頭蓋出血の画像解析にAIを使い、迅速な救命診断につなげている。明確な目的がないまま患者データを保管するのではなく、統合して医療ネットワークで使用すれば、雇用主に価値をもたらし、医療サービスのコストを正確に見積もれる価格決定が実現する可能性がある。

“司令センター”で患者動向を予測

冒頭で触れたように、IT各社は医療部門を急速に拡大させ、幹部として優れた人材を採用している。グーグルは、有害事象を予測して患者に治療計画を提供する、AI対応型EMRシステムを開発するための特許を取得した。この計画を強化するため、同社はGeisinger Health Systemの前CEOであるDavid Feinberg博士を、クリーブランドクリニック前CEOのToby Cosgrove博士を迎え入れました。

グーグルの取り組みと並走するように、台湾を拠点とするフォックスコンが米国への展開を計画している。同社は、従業員の健康を維持する類似のEMRシステムを構築するため、有力企業のAdvocate Aurora Healthと提携・合併した。この事業には、フォックスコンがウィスコンシン州マウントプレザントに置く100億ドルの製造施設と、Advocate Auroraが計画する病院などの複合施設への2億5000万ドルの投資計画が含まれる。

GEは、GEヘルスケア譲渡の計画を棚上げにし、かわりにバイオ医薬事業をダナハーに売却する決断をした。これで負債が減り、技術提供により注力できるようになる。GEヘルスケアは自社のAI技術を強化するとともに、オーランドのAdvent Healthなど影響力のある企業と提携して、NASAのような指令センターをつくろうとしている。センターでシステム全体の患者動向を予測することで、より効率的にベッドを割り当て、不要な入院を減らす狙いだ。これにより、医療システムがメディケアや包括支払い方式の要件に適応することになる。

アマゾンとバークシャー・ハザウェイ、JPモルガン・チェースの医療ベンチャーは医療システムに混乱をもたらしそうだが、これに続いてAIと患者データの一体化の波が高まっても、驚くに当たらない。企業がシステム開発を加速させるためのコツは、リスクに基づく決定を十分正確になし得る時点を見極める、ということだろう。

【出典と参照レポート】

この記事は、Decision Resources Groupのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです。本記事の内容および解釈については英語の原文が優先します。正確な内容については原文を参照してください。本記事の原文はこちらです。

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